東京地方裁判所 平成10年(刑わ)753号 判決 1998年12月15日
主文
被告人を懲役二年六月に処する。
この裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。
被告人から金四一二万三一六四円を追徴する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、平成三年五月二七日から平成五年五月二三日までの間、日本銀行(以下「日銀」という。)経営管理局調査役を務め、同月二四日から平成八年五月二六日までの間、日銀営業局調査役として、取引先金融機関及び金融市場の取引の動向の調査及び資金の調整並びに取引先金融機関に対する指導等の職務に従事し、同月二七日から同局証券課長として、取引先証券会社、取引先証券金融会社及び証券市場の取引の動向の調査、取引先証券会社及び取引先証券金融会社の資金の調整並びに取引先証券会社及び取引先証券金融会社に対する指導等の職務に従事していたものであるが、
第一 平成五年五月一七日ころから平成九年五月二八日ころまでの間、前後五八回にわたり、別表一記載のとおり、株式会社日本興業銀行(以下「興銀」という。)の総合資金部部長等を務めていたAらから、日銀の経済情勢についての判断等に関する秘密の情報を教示し、興銀に対する日銀貸出残高を都銀上位行並みに維持するよう日銀貸出担当者に指示するなど便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼の趣旨及び今後も同様の取り計らいを受けたい趣旨の下に接待等されるものであることを知りながら、東京都港区芝大門一丁目七番六号所在の「菊家」等において、代金合計二九九万四九三九円相当の飲食、ゴルフ等の接待等を受け、
第二 平成五年六月一九日ころから平成九年六月一七日ころまでの間、前後二九回にわたり、別表二記載のとおり、株式会社三和銀行(以下「三和」という。)の企画部次長を務めていたBらから、日銀からの制裁としての日銀貸出据置担保の増額処分を早期に解除し、日銀の金融調節及び他の市中銀行の動向等に関する秘密の情報を教示するなど便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼の趣旨及び今後も同様の取り計らいを受けたい趣旨の下に接待等されるものであることを知りながら、東京都青梅市小曽木五丁目二九四四番地所在の「東京バーディクラブ」等において、代金合計一一二万八二二五円相当の飲食、ゴルフ等の接待等を受け、
もって、いずれも自己の前記職務に関して収賄したものである。
(証拠の標目)《略》
(補足説明)
一 弁護人は、被告人は、興銀及び三和から、職務に関連して判示の接待等を受けたが、何ら便宜な取り計らいをしていない、と主張する。
二 関係証拠によれば、被告人の行為で贈賄者による謝礼の対象となった主要なものは、1 興銀の担当者に対し、日銀が四半期毎に公表する日本経済の現状と今後の見通しに関する判断の基礎とされ、かつ、機密性を有する、いわゆる情勢判断資料の内容を教示したこと、2 興銀の要望を受けて、興銀に対する日銀貸出残高を都銀上位行並みに維持するよう日銀貸出担当者に指示したこと、3 日銀が実施する各種のオープン・マーケット・オペレーションの対象先選定に関し、興銀の要望を受けて、興銀の証券子会社設立後も興銀本体を対象先として指名するよう金融課係員を通じて市場課の担当者に助言したこと、4 興銀の要望を受けて、国債取引における即時決済制度を早期に実現させるよう尽力したこと、5 事務手続上の過誤等に対する制裁として三和に課されていた日銀貸出据置担保の増額処分について、三和の要望を受けて、早期にこれを解除したこと、6 三和の担当者に対し、短期金利の誘導レンジ等金融調節に関する日銀の内部情報の概要を教示したこと、7 三和の担当者に対し、各種のヒアリング等を通じて得ていた他の市中銀行に関する情報を教示したこと、8 三和の要望を受けて、三和関連のノンバンクの手形の信用判定を継続するよう日銀支店の担当者に口添えしたことなどであることが認められる。
(なお、三和の担当者に対し、三和が提携等を検討していた証券会社の内部情報を教示したことは贈賄者による謝礼の対象となっていたとは認められない。)
三 被告人の前記行為の内容のほか、興銀及び三和の各担当者が、被告人の前記行為に対する謝礼の趣旨で被告人に対し判示の接待等をしたものであること、その他関係証拠に照らすと、興銀及び三和の各担当者の立場からみた場合、被告人の前記行為は、いずれも関係各行に対する便宜な取り計らいに当たるものであることが認められる。
そして、関係証拠によれば、被告人が、その旨認識した上で関係各行に対し前記認定に係る便宜な取り計らいをし、これに対する謝礼の趣旨の下に接待等されるものであることを知りながら判示の接待等を受けたものであることは明らかである。
被告人自ら、捜査段階において、「興銀や三和の職員が、常に、私が金融課調査役、筆頭調査役、あるいは証券課長として有していた職務に関する様々な事項について、自行に有利に取り計らってもらいたいという気持ち、そして、営業局金融課、あるいは証券課の職員である私でしか知らないような日銀内部の様々な経済・金融情勢に対する情報や、各種のヒアリングを通じて私が得ていた他行や他の証券会社に関連する情報を教えてもらいたい、なんとかこれを探りたいという目的で、私を接待していたことは、当然、分かっておりました。」「私は、興銀や三和の職員から、様々な依頼を受けて、当時、私ができる範囲での最大の配慮をしてあげたり、できるだけ好意的な見方をして取り計らってあげたり、また、有利に取り扱ってあげたりして便宜な取り計らいをしてあげたほか、あるいは、軽々に漏らしてはならない日銀内部の情報を教えてあげたり、また、他行等に関する個別の情報についても私の判断で一部教えてあげたこともありました。」などと供述し、これを認めているところである。
四1 ところで、弁護人は、被告人の前記行為は、日銀としての政策目的を達成するためのもの、あるいは、通常の職務の範囲内のものであるから、特定行に対する便宜な取り計らいに当たらない、と主張する。
しかし、被告人の前記行為のうち、1、6及び7のような情報を教示することは、日銀としての政策目的を達成するためのもの、あるいは、通常の職務の範囲内のものであるとはいえず、関係各行に対する便宜な取り計らいに当たることは明らかである。
また、その余の被告人の前記行為が弁護人の主張するような趣旨のものであるにしても、そのことにより、前記のとおり、被告人の前記行為が関係各庁に対する便宜な取り計らいに当たる面があるなどということがいえなくなるものではない。
これらのことは、前記のとおり、被告人が捜査段階において自認するところでもある。
2 弁護人は、被告人の前記行為のうち、1、6及び7は、既に新聞等により報道された新規性のない情報を教示しただけであり、かつ、詳細な予測値や他行の信用状況等金融市場に大きな影響を及ぼす事項を除外していたから、いずれも関係各行に対する便宜な取り計らいに当たらない、と主張する。
しかし、関係証拠によれば、関係各行にとっては、日銀、特に営業局が各種ヒアリングを通じて経済・金融に関する情報を総合的に把握しているため、日銀から確度の高い情報を入手し、自行が得た情報の確度を確認することが、自行の営業方針等を決める上で有益であり、そうであるからこそ、関係各行には日銀との折衝等を専門に担当する部署が設けられていたものと認められる。
したがって、教示された情報に新規性があるか否か、金融市場に影響を及ぼす事項が含まれているか否かにかかわらず、被告人が、特定行に対して、前記認定に係る情報を教示すること自体が便宜な取り計らいに当たることは明らかである。
五 なお、被告人は、当法廷において、関係各行に対し、何ら便宜な取り計らいをしていない、と供述している。そして、捜査段階において関係各行に対し便宜な取り計らいをした旨認めた経緯について、自分が接待を受けたことから便宜な取り計らいをしていたと受け取られるような事態を招いたものであって、それは自分の責任である。改正日銀法の下で日銀が新しく出発するに当たり、自分が便宜な取り計らいをしていない、と主張すれば、更なる混乱を引き起こし、日銀及び日本の金融界全体のために必ずしもよくないと考え、検察官から誘導されるがままに供述した、と説明している。
しかし、なぜ被告人が、関係各行に対し便宜な取り計らいをしなかったことを、当法廷におけると同様に捜査段階において供述することが日銀の更なる混乱を引き起こし、日銀等のためによくないことになるのか、なぜ被告人が、公判段階において、関係各行に対し便宜な取り計らいをしなかったと供述するに至ったのかについて合理的な説明はされていない。被告人の説明する供述を変遷させた理由には納得することができない。
また、被告人は、当法廷において、検察官に対し述べた自己に不利益な具体的事実等に関し質問されると、「記憶にない。」「不自然である。」「違和感を感じる。」などとあいまいな供述に終始している。
そうであるならば、被告人の捜査段階における供述に対する被告人の前記の弁解は信用することができない。
六 以上のとおりであるから、弁護人の主張は採用することができない。
(法令の適用)
被告人の判示第一の別表一の番号一ないし同三〇及び判示第二の別表二の番号一ないし同一五に係る各所為はいずれも平成七年法律第九一号附則二条一項本文により同法による改正前の刑法(以下「改正前の刑法」という。)一九七条一項前段に、判示第一の別表一の番号三一ないし同五八及び判示第二の別表二の番号一六ないし同二九に係る各所為はいずれも右改正後の刑法(以下「改正後の刑法」という。)一九七条一項前段にそれぞれ該当するところ、以上は前記附則二条二項により改正後の刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の別表一の番号二二に係る罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役二年六月に処し、情状により前記附則二条三項により改正後の刑法二五条一項を適用してこの裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予し、被告人が判示各犯行により収受した賄賂はいずれも没収することができないので、判示第一の別表一の番号一ないし同三〇及び判示第二の別表二の番号一ないし同一五に係る各犯行により収受した賄賂については前記附則二条一項本文により改正前の刑法一九七条の五後段により、判示第一の別表一の番号三一ないし同五八及び判示第二の別表二の番号一六ないし同二九に係る各犯行により収受した賄賂については改正後の刑法一九七条の五後段により、それらの価額合計金四一二万三一六四円を被告人から追徴することとする。
(量刑の理由)
一 本件は、日銀経営管理調査役を務めた後、日銀営業局調査役として取引先金融機関及び金融市場の取引の動向の調査及び資金の調整並びに取引先金融機関に対する指導等の職務に、同局証券課長として取引先証券会社、取引先証券金融会社及び証券市場の取引の動向の調査、取引先証券会社等の資金の調整並びに取引先証券会社等に対する指導等の職務にそれぞれ従事していた被告人が、自己の職務に関し、興銀及び三和から、前後八七回にわたり、合計四一二万三一六四円相当の飲食接待、ゴルフ接待等を受けた、という収賄の事案である。
二1 日銀は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、政府の経済政策の一環として通貨及び金融の調節を行うほか、銀行その他の金融機関の間の資金決済が円滑に行われるよう図り信用秩序の維持に資することを目的とする特殊法人である。そして、その目的の公益性が強いことから、日銀職員は、その職務の遂行が適正であるのみならず、それが公正であり、かつ、その公正さに対する国民の信頼が確保されることも要請され、法令により公務に従事する職員とみなされて、刑法に規定されている収賄罪の処罰の対象ともされているのである。中でも、日銀営業局職員は、金融調節等金融政策の実施と金融システムの監視という、日銀の重要な機能を担っている上、取引先金融機関の取引の動向の調査や取引先金融機関に対する指導等の職務の遂行に際してはその職務の性質上取引先金融機関の関係者との接触の機会も多いのであるから、そのことが強く要請されているといわなければならない。
そして、被告人は、日銀営業局の金融課担保調査役及び筆頭調査役、あるいは、同局の証券課長として、興銀及び三和を含む取引先金融機関の取引の動向の調査及び資金の調整並びに取引先金融機関に対する指導等の職務を担当し、我が国における金融・経済活動の中枢である大手金融機関の営業等に多大な影響を与える重要な地位にあり、その職務を遂行する過程で、取引先金融機関の欲する日銀の内部情報や取引先金融機関における種々の内部情報を知り得たる立場にあったものである。したがって、被告人は、その担当する職務について、適正かつ公正にこれを遂行することがより一層強く期待されていたところである。
しかしながら、被告人は、興銀及び三和の担当者が、日銀営業局の金融課又は証券課の実質的権限を有する被告人に対し、日銀や他の金融機関の内部情報を教示するなど種々の便宜な取り計らいをしてもらうことを期待して接待等を行ってくるのを承知の上で、その職務に関し、本件の一連の接待等を受けたものである。しかも、被告人は、興銀及び三和に対し、前記のとおり種々便宜な取り計らいを行ったものであり、その中には、機密性が高く、市中銀行に軽々に漏らしてはならない日銀等の内部情報を教示して漏洩するという、公務に従事する職員とみなされる者として厳に戒めなければならない、適正さの点からも問題のある行為もある。
したがって、本件は、我が国の中央銀行である日銀における金融政策の遂行等の業務の公正さに対する国民の信頼を著しく失墜させたばかりではなく、その公正さそれ自体、更には適正さをも損なったものであるというべきである。まず、この面から、被告人は強く非難されなければならない。
2 被告人は、日銀の金融政策に精通し、将来の日銀を背負って立つ人材の一人として、営業局金融課及び証券課において、重要な地位を与えられ、実質上、金融政策を中心的立場で遂行し、「ミスター営業局」「営業局に甲野あり」などと言われて、内外からその能力を高く評価されていたものである。そして、取引先金融機関としても、被告人を、営業局の実務のとりまとめ役として、最も気を遣い、かつ、大事にしなければならない相手として、認識するようになったものである。
一方、被告人は、日銀入行当初より、上司・先輩が取引先金融機関からの接待等を受けていたことから、疑いを持つことなく、自らも接待等を受け入れるようになり、次第にそのような慣行に浸っていったものである。そして、被告人自身、「日銀は、「公家集団」とやゆされるように、常に上座に位置し、下位の者たちからちやほやされることに慣れきっている。」と認めるとおり、自分は市中銀行に対し優位な立場にある我が国の中央銀行である日銀の、しかも、重要な地位にある者だというおごりと、入行当初より浸ってきた、この程度の接待なら許されるという甘えから、何らためらうことなく興銀及び三和からの接待等の誘いを受け入れ、次第に公務に従事する職員とみなされる者としての自覚をまひさせ、接待等を半ば当然のように受け入れるようになっていったものである。
したがって、本件の各犯行に至る経緯には酌量するべき余地がないというべきである(なお、弁護人は、日銀職員にとって取引先金融機関からの接待は、意見交換の場として重要であり、日銀の業務遂行の一環として必要なものであったから、被告人の刑の量定に当たっては、この点をしん酌するべきである、と主張する。しかし、日銀が、取引先金融機関との間で意見交換をするために、取引先金融機関が、費用を負担した上で飲食やゴルフ等を行う場を設けることが必要であったということはできない。現に、本件が発覚した後は、日銀において、取引先金融機関との接待等を禁止する方向での改革が行われている。弁護人の主張は採用することができない。)。
3 被告人は、平成五年五月ころから平成九年六月ころまでの約四年一か月もの長期間に、興銀及び三和から、八七回もの多数回にわたり、合計約四一二万円相当の多額に上る飲食接待、ゴルフ接待等を受けたものである。
右の接待等の中には、一回の接待に要した被告人一人分の費用の合計額が五万円を超えるものが多数回あるほか、一〇万円を超えるものもある。飲食接待には、高級料亭での、コンパニオン付き、ギターの生演奏付きのものや、被告人が暗に要求して行われたものもある。ゴルフ接待では、ゴルフ場でのプレー代、飲食代を銀行側に負担させることはもとより、多くの場合、銀行側からの手土産をためらうことなく受け取り、銀行側が用意したハイヤー等を利用して自宅とゴルフ場を往復しており、正に至れり尽くせりの接待を受けているといわざるを得ない。
このような接待等を受けた期間、回数、額及び態様のいずれをみても、本件は悪質な犯行といわなければならない。
4 被告人は、営業局調査役及び同局証券課長として、日銀と金融業界との間にあった悪しき慣行を自ら打破しなければならない立場にあったにもかかわらず、接待等に対する問題意識が希薄なまま、これを長期間にわたって恒常的に受け、更には、日銀等の内部情報を教示するなど、公務に従事する職員とみなされる者としては強く非難されるべき行為にまで及んでいたものである。被告人の規範意識が著しくまひしていたことは明らかである(なお、弁護人は、被告人が受けた接待等の中には職務に関連する趣旨が必ずしも明確でないものがある、と主張する。しかし、接待等の趣旨が不明確なのではなく、右のとおり被告人の規範意識が著しくまひしていたために接待等に対する問題意識が希薄になっていったにすぎない。弁護人の主張は採用することができない。)。
5 そして、これらの事情等に、公務員の職務の公正及びその公正さに対する国民の信頼を著しく損なわせる事件が続発し、綱紀を粛正することが引き続き重要な課題とされている現状をも併せ考慮すると、被告人の刑事責任を軽くみることはできない。
(なお、弁護人は、日銀は、その政策・業務が独善に陥らないように取引先金融機関と幅広く意見を交換する場を設けることを勧め、その一形態として取引先金融機関から接待を受けることを組織として許容してきたものであって、被告人の本件行為も、このような日銀全体の風土の問題としてとらえるべき面があることは否定することができないから、被告人に対してのみ重い責任を問うことは、社会通念上権衡を欠くおそれがある、と主張する。しかし、本件が悪質な事案であり、被告人の刑事責任を軽くみることができないことは前記のとおりであるから、被告人に対し刑事責任を問うことが社会通念上権衡を欠くというようなことを被告人は言える立場にない。弁護人の主張は採用することができない。)
三 しかしながら、他方、
1 被告人は、当法廷において、関係各行に便宜な取り計らいをしたことは否定しているが、捜査公判を通じて、収賄の各犯罪事実を認め、公務に従事する職員とみなされる者として本来許されない甘えた認識の下で、長期間、世間の常識を逸脱する形で接待を受け続けた結果、今回の事件を引き起こし、日銀に対する国民の信頼を大きく傷付けてしまったことを深くわびて、反省の態度を示していること、
2 被告人は、約二〇年間にわたり、有能な日銀職員として勤務するなどしてきたものであり、証券市場の危機回避、日本版ビックバン構想の実現、金融界の経営革新への貢献等我が国の金融界において相当程度の功績が認められること、
3 被告人は、本件により逮捕・勾留の上起訴され、懲戒免職処分を受けて日銀職員としての身分を失い、しかも、その経過についても日銀幹部職員の収賄事件としてマスコミに大きく取り上げられるなど、既に社会的制裁を受けていること、
4 被告人には前科はもちろん、前歴もないこと
など、被告人のために酌むべき事情も認められる。
四 そこで、これらの事情を総合考慮した上、被告人に対しては、主文のとおり量刑するのが相当であると判断した。
よって、主文のとおり判決する。
(求刑 懲役三年、金四三二万八七四七円の追徴)
別表一 〔省略〕
別表二 〔省略〕
別紙1 〔省略〕
別紙2 〔省略〕
(裁判長裁判官 阿部文洋 裁判官 伊名波宏二 裁判官 丹羽芳徳)